ジェネリック医薬品の化学的同一性

臨床上の効果、作用は、作用を発現する部位での成分濃度(遊離薬物濃度)に依存します。即ち、成分濃度が原因となって、結果として効果、作用の発現があります。原因として薬物濃度を与える薬物量を先発医薬品と同等あるいはそれ以上の良質のグレードで確保し、不純物量を先発医薬品と同等あるいはそれ以下に十分押さえておけば、薬物量、不純物量による効果、作用の違いは起こりません。この考えに基づき、原薬の化学的規格基準が設定され品質の確保が行われます。ここで原薬メーカーは原薬の製造承認の申請は行いませんが、ジェネリック医薬品の製造承認の申請にあたり、ジェネリック医薬品メーカーの製剤に関するデータと同時に、原薬メーカーが作成した原薬の化学的品質に関するデータも審査されます。

製造中で原薬の新たな分解が起こる可能性、安定性に差異がでてくる可能性、また異なる不純物が混入する可能性があります。この場合も、薬物量を先発医薬品と同等あるいはそれ以上のグレードで確保し、不純物量、分解物量を先発医薬品と同等あるいはそれ以下に押さえておくことが、薬物量、不純物量、分解物量による効果、作用の違いを起こさせない前提条件となります(医療者からも添加物やコーティングの違いを心配する意見がありますが、その回答の一つがこれです)。

同一性調査(化学的品質評価)ポイント

①先発医薬品と同等以上の水準のものであるかどうかの調査

②先発医薬品の規格より劣る場合には、先発と同等の水準に合わせるよう指導、変更後、データの提示

適合性調査(適切な環境、条件の下に適切に検討された結果であるか)ポイント

①後発品申請時および同一性調査時に提出した添付書類に全生データの調査

 

ちなみに、不純物には、成分の不純物、添加物とその不純物、また成分の分解により生じた分解生成物等があります。不純物に関する基準の設定はガイドラインで決められています。ガイドラインでは、1日当たりに投与される可能性がある不純物から、メーカーが対応すべき内容を決めています。実際に含まれている不純物量から、不純物の測定のみを記録するだけでよいとする場合から、安全性を動物で確認しなければならない場合までをケース分けします。得られた結果に基づいて、許容の程度を決定し、限度値を設定します。限度値は副作用が生じるギリギリの値ではなく安全域を考え、現在の技術水準で対応可能な程度にまで下げて設定するようにしています。ジェネリック医薬品の不純物に関する基準は、先発医薬品と同等のレベルかそれ以上の厳しいレベルであることとしています。原薬の製造方法、添加物の違い等から含まれている不純物の種類や量が異なることは当然ありますが、この基準内であれば安全性に問題がありません。この考え方は、ジェネリック医薬品だけでなく先発医薬品に関しても適用しています、また日本国のみでなく、世界共通の方法として合意し採用されているものです。

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