ジェネリック医薬品と先発医薬品間で同じある点と異なる点

ジェネリック医薬品は治療学的には同等でも、下記のように異なる点はあります。この私のサイトはその点を少しでもわかりやすく提示するために一覧で製剤工夫点等を掲示していますが、医療機関でよく精査されて選択頂けたら幸いです。

 

同じところのポイント

主薬、その不純物が濃度依存的に発現させる臨床上の効果副作用-同等

異なるところのポイント

①主薬、その不純物、添加物が濃度非依存的に発現させる副作用

②主薬の臨床上の有効性・安全性に関わらない製剤特性

③一部、患者のプラセボ効果による、効果の差異が生じる可能性があるかもしれない

選択基準のポイント

①薬価の安い製剤

②患者の安全が保証される製剤:添加物によるアレルギー

③患者が飲みやすい、取扱やすい製剤:色、形、味、崩壊性、口触り、分散性

④調剤しやすい製剤:調剤機器との相性、調剤条件での安定性、配合変化

⑤医療機関とメーカーとの信頼関係が保てる製剤:安定供給、情報の相互の伝達

 

説明

①薬価:ジェネリック医薬品の開発は、積み重ねられてきた社会的財産を基に、製剤の開発のみを行うことで製造販売が承認される医薬品です。そのため、個々のメーカーにおける開発費用は少なく、開発期間も短縮でき、開発費は先発医薬品と比べ大きく削減できます。このことにより、薬価低い医薬品を選択することが可能となり、結果、薬剤費が軽減できることは、医療経済学上、患者、医療機関、保健医療体制全体にとって大きなメリットとなります。有効性、安全性が同じである医薬品群の中で、敢えて高価な医薬品が選択されるならば、その理由を患者、社会に対し明確に説明し同意を取ることが必要となります。

②添加物:製剤に用いられている添加物は前提として医薬品によって異なります。医薬品に用いられる添加物の種類とその品質基準は公的に決められており、各メーカーはその中から製剤に適した添加物を選択しています。それは非常に狭い選択でしかありません。添加物が有効性や安全性に影響を与える可能性があることについて、生物学的同等性試験で同等であると確認されています。しかし、物質の濃度に依存せず、ごく低頻度に患者に発現するアレルギー反応がでる可能性は否定できません。このアレルギー反応がでる可能性はジェネリック医薬品に限らず、先発医薬品も同程度の確率であります。これは、医薬品を新たに服用する、医薬品を変えることで引き起こされる一般的なリスクです。アレルギー体質の患者には特に注意する必要があります。

③プラセボ効果:プラセボとは本物の医薬品に似せた、医薬品として効果を発揮する成分が含まれていない偽薬のことを指します。偽薬であっても医薬品だと信じて服用することで効果が表れることがあります。思い込み、印象、気分などで治療効果が変わってしまうことが3割程度はあると考えられています。その為、従来、先発医薬品で治療し、今回からジェネリック医薬品であることがわかった状態で切り替えた場合、もしかすると悪くなるかもしれないと暗示をかけられると、実際は同等の血中濃度を与える医薬品であったとしても、効果は変化してしまうことはありえることになります。積極的な暗示はなくても、これまでとは異なる色の錠剤を服用し始めたという疑惑、不信でもこのようなことは引き起こされるかもしれない。この点から、ジェネリック医薬品に切替える際には、医師、薬剤師と患者の間でよく話し合い、理解し信頼し合う中で、患者の同意の下にその切り替えが行わることが必要です。

④製剤:ジェネリック医薬品の開発は先発から10~15年は遅れ、先発医薬品が医療で用いられている状況を見ながら開発されるので、製剤として有用性、利便性が先発医薬品に比べ改善されている例が多くあります。服用、投与、治療に加えやすい、調剤しやすい、保存しやすい、購入しやすい等の特徴があります。これらは先発医薬品一つに限られ、不便を感じていたが、我慢してきたことへの改善となります。ジェネリック医薬品が供給されるようになったことによる大きなメリットです。この点に注目しましょう。