ジェネリック医薬品政策の具体例

〇ジェネリック医薬品の供給体制

厚生労働省はジェネリック医薬品の供給体制の整備を進めるために平成18年2月、安定供給に関連した通知を出しています。ジェネリック医薬品メーカーにとって厳しい要求ですが、欧米のように、ジェネリック医薬品が販売されている医薬品はほぼジェネリック医薬品のみが使用されているという状況を作り上げる為に越えなければならいステップです。

ちなみに、欧米ではジェネリック医薬品が医療へ供給開始されると、2~3年でほとんど完全に先発医薬品からジェネリック医薬品へ置き換わります。

 

2006.3の厚生労働省通知のポイント

すでに発売されている先発医薬品がもつ規格を全て取り揃えていないと薬価基準に収載されない

安定供給についてのポイント

①5年間は継続して製造販売を行う

②全都道府県に販売体制を整備し情報の提供を怠らない

③関係機関からの安定供給に関する苦情を速やかに受け付け改善を行う

 

〇平成28年度の診療報酬改訂後の後発医薬品体制加算の指標の見直し

 

             後発医薬品の数量  


後発医薬品ありの先発医薬品+後発医薬品の数量

 

〇平成30年の診療報酬の改訂後の後発品関連の加算は以下

対象 内容
調剤薬局 調剤数量割合75%以上:18点

80%以上:22点

85%以上:26点

(新)後発医薬品の数量シェアが著しく低い薬局の調剤基本料の減算(20%以下):2点減算

ただし、以下の場合は含まない。

①処方箋の受付回数が1月に600回以下の保険薬局

②当該保険薬局における処方箋受付状況を踏まえ、やむを得ない場合

診療所 一般名処方加算1:6点

一般名処方加算2:4点

医療機関 後発医薬品体制加算1(85%以上):45点

後発医薬品体制加算2(80%以上):40点

後発医薬品体制加算3(70%以上):35点

後発医薬品体制加算4(60%以上):22点

外来後発医薬品使用体制加算1(85%以上):5点

外来後発医薬品使用体制加算1(75%以上):4点

外来後発医薬品使用体制加算1(70%以上):2点

 

〇一般名処方

薬物治療は、用いる医薬品を医師が選択し処方箋に記入します。記入された医薬品を薬剤師が調剤し患者に渡します。処方箋に記入する医薬品名は、個々の製品名でなければならないとすると、先発医薬品に比べ種類が多いジェネリック医薬品の名称をすべて医師が覚えるのは困難です。そのため、医師はなじみのある先発医薬品を投与することが多くなります。ジェネリック医薬品は先発医薬品と有効性、安全性が同じで、その点では差異がなく、一般名で表現してもよいので、処方箋には一般名で記入してもよいとすれば、医師にとって非常に便利で、理にかなっています。欧米の多くの国では一般名で処方箋記入が行われています。

ちなみに、ジェネリック医薬品は、有効性、安全性が先発医薬品と同じですので、医師が一般名で記入せず先発医薬品名で記入しても、薬剤師がジェネリック医薬品を選択することで、治療を混乱させることにはならないと考えられます。医師が処方で記入した製品名と関係なく、有効性、安全性が同じであるジェネリック医薬品の中から薬剤師が選択して調剤することを代替調剤と呼び、欧米各国は認めています。

さらに、日本国では、以前一般名(成分名)は、処方する目的で付けられた名称でないために、塩酸、硝酸や硫酸などのように塩基が名前の頭に付くため、紛らわしいなどの問題点がありました。また、ニフェジピンの徐放性製剤のように、1日2回の徐放性製剤と1日1回の徐放性製剤をどのように区別するかなどの問題もありました。さらに、配合剤をどのように一般名で表示するかは、一般名処方では問題となります。そのため、現在では下記にようになっています。

 

先発品名 一般名
アダラートL錠 ニフェジピン徐放錠(1)
アダラートCR錠 ニフェジピン徐放錠(2)
テオドール錠 テオフィリン徐放錠(1)
ユニフィルLA錠 テオフィリン徐放錠(2)

 

後発品名 一般名
ベニジピン塩酸塩錠

塩酸ベニジピン錠

ベニジピン塩酸塩
プロピベリン塩酸塩錠

塩酸プロピベリン錠

プロピベリン塩酸塩錠
リトドリン塩酸塩錠

塩酸リトドリン錠

リトドリン塩酸塩錠
エピナスチン塩酸塩錠

塩酸エピナスチン錠

エピナスチン塩酸塩